這い回り、変身し、胞子を飛ばす謎の生物
2006年 08月 05日
そんな梅雨の終わり頃、近所の公園を散歩していると、木陰の地表上に白い歯ブラシの毛のようなものがたくさん生えていました。近付いて見ると、長さ三〜四ミリ程の白い穂のようなものが、細い柄の先にくっ付いています。どうやら、変形菌の一種の子実体のようです。
確かこの変形菌類の生態は、粘菌という名前で生物の教科書に載っていたのですが、接合した細胞が餌となる微生物を求めてアメーバのように這いずり回りながら生活し、条件が整うと柄の先に胞子を付けた子実体に姿を変え、胞子を飛ばして拡散するという、遊星からの物体Xも顔負けの奇怪なものでした。
悪趣味で物好きな私は大いに興味をそそられながらも、今まで機会に恵まれなかったのですが、最も不気味と思われる、アメーバの状態ではなかったものの、ようやっとその片鱗に触れることができました。
後で調べたところ、実際はアメーバ状態と言っても目で分かる程の動きはないそうで、辛うじて子実体に変身する時が、数時間という単位ながらも変化を見て取れる程度だそうです。この写真の状態は、ちょうど子実体が形成され、胞子ができてくる段階のようです。
じめじめして不快だったり野菜の値段が高騰したりと、困った長梅雨でしたので、このくらいは楽しませてもらわないと割に合わないな、などと思ったりもした出来事でした。