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写真初心者のおっちゃんが、身近な生き物について、下手くそな写真と駄文で観察日記風に綴ります。きのこと家庭菜園の話題が多めです。


by at384
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アリは巡回セールスマン問題を解くか

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最近庭に植わっているディルに青虫が発生し、捕っても捕ってもなぜか湧いてくるかのように数日経つとまたいるという状態です。 そんな中、今日も十匹ほど捕まえ、アリに処分してもらおうとアリのよく通る場所に転がしておきました。

アリはしばらくの間現れなかったのですが、そのうちたまたま通りかかった一匹が気づき、しばし突っつき回しているうちに獲物と認識したのでしょう、アゴでくわえて巣のほうに引きずって行こうと格闘しています。 青虫をアリに処分してもらうのはよくやっており、実際昨日も二十匹近いディルの青虫をアリさん葬儀社に委ねているのですが、今日はふと最初から観察してみようと思い、この様子を見ていました。

以下はその過程ですが、後の説明のために番号を振っています。

1) 発見から通報まで
小さな青虫とはいえ、アリ(トビイロケアリ?)の体長からすれば五倍近くで、しかもまだ生きているため、アリがくわえようとすると体を振って抵抗します。 どうするのかと見ていると、しばし格闘したのち、獲物を放置したまま巣の方面へ去ってしまいました。

2) 援軍到着
獲物を見つけたアリが巣に戻る際、その通り道にフェロモンを付けて行くのはよく知られたことなので、道しるべフェロモンをたどって仲間がやってくるのを期待して待っていたところ、果たして何匹ものアリがぞろぞろとやってきて、転がっている青虫に次々と食らいつきます。

f0108133_13352814.jpg3) 獲物運搬
獲物を確保したアリたちは、二〜三匹がかかって一匹の青虫をずるずると巣のほうへ引きずって行きます。 こうして獲物はアリたちの見事な協調行動によって、まるで一つの知性体が行動しているかのごとく運ばれるという、絵に描いたような大団円に至るわけです。

が、ここで個々のアリの行動に注目して観察していると、巷でよく言われているような計算し尽くされたかのようなことにはなっていないように思えてきました。 個々のアリといっても残念ながら正確な見分けは付きませんので、可能な限りではありますが、アリたちの行動は結構いい加減で、かなり頭が悪いと思われることすらあるのです。

まずは上記 3) の運搬の作業ですが、協調とは言い難い行動が数多く見られました。 例えば青虫を引きずって行く方向なのですが、障害物がほぼ無い平らな場所ではほぼフェロモンの道しるべに従ってか、お約束通りに全員が同じ方向に引っ張って行きます。 しかし、石ころや草の根など障害物のためにまっすぐ進めない場所では、一匹の青虫をてんでんばらばらな方向に引っ張り合ったり、根に引っ掛かった青虫をそのまま引っ張り続けたりして、いつまで経っても前に進みません。

このような状態に陥った際に、誰か調整役が出てくるなどということはまるでなく、次から次から手の空いたアリが参加して、ますます事態は泥沼にはまって行きます。 ただ辛抱強く見ていると、アリたちはただ好き勝手に引っ張り合っているだけなので、そのうち力の均衡が崩れて荷物が動き出し、結果的には紆余曲折を経て何とか巣のほうに持ち去られて行きました。

またもう一つ気付いたのが、アリたちには責任感などまるで無いということです。 障害物に阻まれて容易に動かせない状態の獲物を見ていると、噛み付く場所を変えるなどいろいろと試行錯誤した挙句、諦めて放り出して去ってしまうアリがしばしば見られました。 なかにはせっかく途中まで運ばれたにもかかわらず、障害物に当たったまま放置されてしまう獲物もあります。

この放置された獲物も、やがては通りすがりのアリが気付き、また運ばれ始めるのですが、ここで思い出したのが上記 1) の過程です。 最初に獲物を見つけた一匹のアリも、しばらく格闘ののち、獲物を放り出して巣に戻ってしまいましたが、ここで巣に戻ることがなかったら、そのフェロモンをたどって援軍がやってくることはなく、たまたま同じ巣のアリが通り掛かるという事象が繰り返されなければ、この獲物は運ばれないまま終わってしまうかもしれません。

アリのこの無責任さについては、障害物に当たった際の泥沼状態でも、困った力の均衡を崩すのに役立つことも考えられますので、結果的にはアリ全体としての目的達成に役立っているのでしょう。

先日NHKの科学番組でアリの行動について取り上げており、超難問と言われる巡回セールスマン問題もアリの行動を当てはめることで解けてしまうと言っていましたが、少なくとも個々のアリの能力を見る限り決してそんな才能などまるで無く、単に好き勝手に振舞っているだけのように思えます。 個々のアリの行動にはどう見ても合理性など無く、あれこれと試行錯誤を重ねているだけで、ただそれがフェロモンによってある程度方向性が揃っている点が、全くのデタラメとは違っている点なのでしょう。

アリには獲物を巣に持ち帰るという共通の行動原則があること、フォロモンによって同じ方向への動機付けが行われることと、そして無責任さによって行動が永続し得ないという特性がうまく噛み合うことで、集団全体を一個体として見たときに、優れた知性を持った生物として機能するのだと考えます。

そういえば粘菌が迷路の最短距離を解くという話もありますが、あれも決して一発で解を見付けているわけではなく、餌への本能的な志向と、表面積を小さくしようとしているのか、栄養分の濃度差なのかは知りませんが、体液の求心的な志向から必然的に最適解に到達するのではないでしょうか。

こう考えると私たち人間も個人個人が好き勝手に振舞っていれば、丸く収まりそうな気がして来ます。 しかしそう行かないのは、アリの場合は本能に従ってほぼ機械的に動いているからであって、人間の場合は下手に理性があるために、全体の行動が自然の法則を超えて、歪んだ大きな力を持ってしまうからなのかもしれません。

[写真] トビイロケアリ?: 体調約3mm



OLYMPUS TG-3 Tough

Commented by Basilio at 2015-05-25 11:24 x
大変興味深く拝読しました。
確かにアリたちは個体個体が賢いと言うことではなく、どちらかと言えば「集合知」のような感じで高度な行動をしているようなイメージです。アリが、というより「アリの群れ」というシステムそのものが高度なことを実現していると言いますか。
Commented by at384 at 2015-05-27 00:14
下手の考え休むに似たりなのですが、決して賢いとは言えない個体が集まったときに、「集合知」へ向かうのか、それとも収拾がつかなくなる、「集合愚」とでも言う状態かの境界線はどこにあるのでしょうか。
考え出すと興味は尽きませんが、自然界を相手に観察している限りは「集合愚」には出会えそうにないですね。あるとすればホモ・サピエンスぐらいでしょうか。
Commented by Basilio at 2015-05-27 10:05 x
うーん、「集合愚」っていうのは確かにホモ・サピにはよくありそうな笑。
アリみたいな真社会性の連中と我々の社会との差は、ひょっとするとキーになってくるのかな?とも思います。
Commented by at384 at 2015-05-28 00:27
矛盾に聞こえるのですが、集まって「集合知」となる真社会性のアリは、じつは女王アリすら含んで誰も統率している者がいない反面、集まると誰かが統率し出す知的なはずの究極の真社会性生物であるホモ・サピエンスが「集合愚」に陥り易いと言えないでしょうか。

もっともホモ・サピエンスが集まって「集合知」的な状態が成り立っている場合、個々に見ると「愚」な状態だったりするのですが。例えば暴動であるとか。

考え出すとキリがありませんね。
Commented by Basilio at 2015-05-28 09:55 x
何を以て「知」とし「愚」とするのかという定義付けから結構厄介ですしね、たぶん^^;
Commented by at384 at 2015-05-28 23:18
つまるところ、相対的なものに過ぎないわけで。。。
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by at384 | 2015-05-24 16:04 | 昆虫・節足動物 | Comments(6)