この秋はきのこ本が大豊作のようです
2012年 09月 24日
昨年までのここ数年間、秋の長雨らしいものがほとんどなくて、この時期きのこの凶作ぶりに嘆いていたものでしたが、今年はいまのところ雨に恵まれているようで、期待が高まります。
そんな気候と関係あるはずもないのですが、面白いことに、ここひと月ほどの間に次々ときのこ関連の書籍が、まるで雨後のタケノコならぬ、雨後のきのこのごとく発行されて、あまりの豊作ぶりに思わずごっそり衝動買いしてしまいました。
まだ入荷待ちで手元に届いていないものを含めると、
『里山のきのこ』 本田尚子
『きのこ絵』 吹春俊光・海野 弘・鈴木安一郎・本郷和人・萩原博光
『小学館の図鑑NEO きのこシール』 大作 晃一
『ときめくきのこ図鑑』 堀博美
(敬省略)
と、方向性もいろいろで、それぞれ異なった楽しみがあります。(つられて新刊本以外にもあれこれと手を出してしまい、すごいことになっています)
いずれも個性的ですてきな本なのですが、その中で一風変わっていて妙に心に引っ掛かったのが『里山のきのこ』です。 水彩で描かれたきのこの画集なのですが、面白いのは題材となったきのこの選択で、いかにも有名どころを揃えましたという感じではなく、かといって奇をてらったようでもなく、なんだか微妙に不思議なずれを感じて、妙に心をくすぐられてしまうのです。
なにより面白いのは、どういうわけかムラサキヤマドリタケの出現頻度が突出して高いのです。 図鑑ではないので、掲載されているきのこの種類は決して多くはない中で、ムラサキヤマドリタケがなんと十一ページに描かれています。(ページ数だけで言えばヤマドリタケモドキも同じなのですが、ムラサキヤマドリタケは見開きで八個体も描かれているのです!)
ベニタングタケが突出しているというならよくありそうですが、この本田尚子さんとおっしゃるかたは、よほどムラサキヤマドリタケがお好きなのでしょうか。 私も深大寺に越してきた直後に上の写真のみごとなムラサキヤマドリタケに出会ってから、大好きになってしまったので、この本での異様に高い出現率を見ていると、自分まで楽しくなってしまうのです。
そしてもうひとつ、この本にはきのこ以外に昆虫も描かれているページがあるのですが、そこに私が勝手に「わははカメムシ」と呼んで喜んでいる、アカスジキンカメムシの五齢幼虫が描かれているのです。
昆虫関連の本ならまだしも、きのこの本でわははカメムシを見たのは初めてでしたので、その点でもこの本は、私の心の琴線に触れるものがあります。
というわけで、いろんな意味で面白い画集でした。