桜のすごい害虫対策
2006年 12月 08日
桜の葉っぱの付け根近くにあるおできのようなものの正体、ご存知でしょうか。先日新聞で見て知ったのですが、実は私の大好きな、植物のすごい仕掛けだったのです。
桜の葉柄にこのようなものがある事自体は以前からしばしば目にしており、何となく気が付いていたのですが、私は迂闊にもろくに確認もせず、病気か虫こぶのようなものだろうと思っていました。ところが事実は全く異なっていました。
このおでき、でなく器官は、花外蜜腺というもので、花以外の場所にある蜜を分泌する腺なのだそうです。植物で蜜と言えば普通は花から分泌するもので、蝶や蜂などをおびき寄せて受粉に利用するというのが一般的な常識でしょう。これはこれで巧妙な作戦なのですが、桜など一部の植物では、このような花外蜜腺を毛虫などの害虫駆除に利用しているそうです。
この花外蜜腺から蜜を分泌すると、蟻が呼び寄せられてやって来ます。蟻は蜜が目当てでやってくるのですが、雑食性で貪欲な彼らは途中に毛虫などがいると、ついでにそれらも餌として巣に持って行ってくれるというわけです。実に巧妙な作戦です。
そう言えば、時々桜の幹に蟻が行列を作って昇り降りしているのを見るのですが、これもやはり花外蜜腺に群がっているのでしょうか。また近所の桜並木では、幹のあちこちから樹液がだらだらと流れ出ているのですが、すべての葉に蜜を送り込むため密の量もかなりのもので、使い切れずに余ったものが、ちょっとした傷口などから出て来ているのでしょうか。
ともあれ、あまりに身近な存在ゆえ注意して見たことが無かったのですが、こんなところにも巧妙な生き残り作戦があったとは、桜も侮れません。