水吹ききのこ再び
2017年 09月 11日
今年「博物ふぇすてぃばる!」に参加するために必要となったために、これまで縁のなかったツイッターを始めることになりました。 決して批判的な理由で避けていたわけではないのですが、普段からスマートフォンの類を持ち歩かないこともあって、興味を持てなかったのも正直なところです。
ですが、実際始めてみると手軽というのか、機動性がよいというのか、ブログでは事前にあれこれと準備していたものが簡単に済んでしまうため、気が付けばブログの更新を置き去りにしてツイッターばかりになっていました。 易きに流れるというのは怖いものだと、身を以て感じています。
とはいえブログで更新が遅れ、ひと月以上前の話題を出していることもしばしばな実態を考えれば、即時性というのも悪くはないのかもしれません。 一方でやはり140文字という制限は、ただでさえ文章が冗長になりがちな私には厳しく、伝え切れないことも多いので、これからは旬な情報発信はツイッターで、しっかり伝えたいことはブログでと手段を使い分けようと思っています。
前置きは長くなりましたが、八月の長雨の頃の話です。 各地でのきのこの大発生の話題に誘われて深大寺に行ったところ、もちろん他所に劣らず大発生するなかで、久々にツガサルノコシカケの水吹き(分解水)に出会いました。
水吹きに執着しているわけではありませんが、水を吹くきのこはどちらかといえば地味で表情が読み取りにくい硬質菌なので、水吹きは彼らが見せる数少ない生き生きとした表情ですし、何より珍しさと面白いというのが理由で、ブログでも何度か取り上げています。
ツガサルノコシカケのものは九年ほど前に見て以来で、そのときはごく幼菌で水滴は透明だったのですが、今回見たものはなかり成長したもので、水滴もうっすらと赤色を帯びていました。 上面の黒っぽい色と、純白の管孔側に薄紅色の水滴がたいへん美しく、今まで見たなかで一番の水吹ききのこでした。
水吹ききのこといえば、硬質菌のものとは全く異なるのですが、同じ八月に我が家の植木鉢に生えたハタケチャダイゴケにも面白い水吹きが見られました。
ハタケチャダイゴケは胞子が未熟なうちは杯に膜状のふたが付いており、そこに粘性のある液体が満たされていることは知っていたのですが、その液体が裂け始めたふたのわずかな穴から押し出されて、粘性も手伝ってか大きな丸い水滴になっていたのです。
水滴はハタケチャダイゴケの直径の三分の一にも及ぶ大粒のもので、たまたま二つ並んだ杯のちょうど同じ位置に出ているものもあって、美しいだけでなく、可愛らしい光景となっていました。
ハタケチャダイゴケのこの水滴は湿度や気圧などの条件が重なってできた偶然の現象なのか、それとも恒常的に起きていることなのか、残念ながら他の報告例を見つけることができなかったのでわかりませんが、面白いものを見せてもらいました。
もしどなたか他でこの現象を見られたかたがいらしたら、お教えいただけると幸いです。