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写真初心者のおっちゃんが、身近な生き物について、下手くそな写真と駄文で観察日記風に綴ります。きのこと家庭菜園の話題が多めです。


by at384
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キンモクセイは香りもいっぱい、謎もいっぱい

キンモクセイは香りもいっぱい、謎もいっぱい_f0108133_1741723.jpg

今週、少なくともこの近辺では一斉にキンモクセイが開花し、辺り一帯は爽やかで甘い香りに包まれています。

キンモクセイは香りもいっぱい、謎もいっぱい_f0108133_17412314.jpg我が家でも植えて四年目になるキンモクセイがようやっと大量の花を咲かせてくれました。 今までも毎年開花してはいましたが、移植による負担でしょうか、ぽつぽつと僅かなもので、近所のキンモクセイの香りなのか我が家のものなのかわからないという状態でした。

古くからある近所の家々の巨木とは較べるべくもありませんが、今年は明らかに我が家のキンモクセイと判るはっきりした香りが、家の中に流れ込んできます。

そんなキンモクセイの香りについて、以前からずっと気になっていたことがあり、この機会に調べてみたのですが、面白いことがいろいろわかりました。 といっても、どうやら私が知らなかっただけで、意外なほど世に知れ渡っていたようですので、何を今更という感があるかもしれませんが。

キンモクセイは香りもいっぱい、謎もいっぱい_f0108133_18233098.jpgその疑問とは、キンモクセイの花の香りをもっと楽しもうと近付いてみると、離れているときよりも香りを感じられなくなってしまうということです。 同じように香りのよい花として、バラやクチナシ、ジンチョウゲなどがありますが、いずれも近付けば近付くほど強く香っています。

キンモクセイの香り成分は数種類が混じったものだそうで、詳細は検索すればいくらでも見つかるため素人の私は触れませんが、離れてから香るという性質があるということは、成分のうちの何がしかは、花から空気中に揮発したのち酸化によって香りが完成するというようなことなのでしょうか。 この辺りに関しては残念ながら情報が見つからず、未だに疑問のまま残っています。

そして、これは調べている中で初めて知ったのですが、キンモクセイの香りには他にも面白い性質があるそうです。 なんとキンモクセイの香りには蝶など多くの昆虫の忌避する成分が含まれているそうなのです。 この香りをモノともしないのは一部のアブだけらしく、このことからキンモクセイの香りは特定の昆虫を相手にすべく作られたものなのでしょう。

そう知った上であらためて見れば、そもそも蝶が蜜を吸うような形の花ではなく、蝶を呼び集める必要もないわけなのですが、だとすればなぜ念入りに忌避成分まで使ってわざわざ遠ざける必要があるのでしょうか。 例えばランの一種には特定の昆虫を受粉に利用するために、性フェロモンに似た物質を用いたり、メスに擬態したりという手を使うそうですが、これは正の方向の働きかけです。 忌避物質のような負の方向の働きかけは、どちらかといえば害虫の食害を防ぐために用いられるというのが普通のように思われますが、キンモクセイの花はごく一時期のものですから目的は異なるはずで、どうもその意図するところが想像できません。

香る花の代表格として極めて一般的な庭木として植えられ、一見何の不思議もないかのように当たり前に感じているキンモクセイですが、知ってみると意外な面白さに溢れて興味深いものがありました。

ところで解決できていない、近くでは香らないという疑問ですが、キンモクセイの香り成分には抗酸化物質が含まれるそうです。 化学は非常に苦手なので正直よくわからないのですが、ということは自身が酸化されやすい物質ということで、だとすると花から離れた場所の方がよく香るということと何か関係はないものでしょうか。

[写真] キンモクセイ: 樹高約2m



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by at384 | 2016-10-01 22:23 | 植物