成長中の落花生の実の断面
2015年 08月 30日
昨日落花生を試し掘りしてみた様子を紹介しましたが、やはりどうしてもさやの中がどうなっているのか気になり、掘り出して半分に切断してしまいました。
昨日柄に付いたままの状態で見たときには白くてつるんとしていると書きましたが、付着した泥を洗い流して改めて表面を観察すると、うっすらと特有の網目模様ができ始めていることがわかります。 そのほかにも特徴的な点として、先端が小鳥のくちばしのようにちょこんと曲がっている点も見て取れ、基本的な形は出来つつあるようです。
今度は真ん中から半分に切ってみましょう。
まだ固いのかと思いきや、さくっと簡単に刃が入り、きれいに割ることにできました。 中は水分が豊富で、切り口からは微かにもやしのような匂いが漂います。
売られている成熟した落花生にさやと豆の間に大きな隙間があるのは炒ってあるからでしょうか、成長中のものはどうなっているのか気になっていましたが、外側はおそらく殻になるであろう皮のような層があり、その内側は洋ナシの果肉のような組織に満たされていました。
その中にまだ小さくて細長い、ピーナッツになる部分が埋もれているような状態なのですが、もう少し拡大して見てみましょう。
大きい方のさやを半分にしたものです。 うまい具合に豆の本体になる部分も真っ二つに切ることができました。
よく見ると胚が既に形成されており、子葉にあたる胚葉がうっすらと判別できるようです。 豆は中空でまだ胚乳はできていないように見受けられます。 成熟した状態では殻の内側に薄い膜があり、また豆の周囲も薄皮が覆っていますが、それらの基になりそうなものはまだ見当たりません。
こちらはまださやが大きくなってない状態のほうを半分にしたものです。 こちらはさらにうまい具合に中央に刃を入れられたようで、豆になるところのちょうど胚の部分より殻の表面に向かって、洋ナシの果肉状の組織の中をうっすらと白っぽい糸のような、哺乳類に例えればへその緒とも言えるものが繋がっているのがわかります。
やはりまだ中空の豆の中には胚があり、胚葉の付け根にはピーナツを食べているときに見つかる胚の正四面体のような部分が見えるようにも思えますが、まだきちんと判別できる状態ではありません。
面白いのは写真で言えばその右上あたりにある、豆の部分のでき始めが、やはりへその緒付きで確認できることです。 豆のでき始めはこのような状態なのだということがわかりますが、興味深いのはおそらく胚になるであろう部分が、大きくなったものでは薄黄色になっているのに対し、この段階でははっきりと緑色をしていることです。
陽に当たらないので色が薄くなるのでしょうが、最初は陽も当たらないのに緑色というのは意外でした。
売られている殻付きの落花生を食べていると、時々豆が一つしか入っていないものがありますが、この様子から想像すると豆は必ず二つあって、うまく成長できない場合はこのでき始めの状態のものが何らかの経過をたどって消滅してしまうのではと考えられます。
子房柄の先端が膨らんで落花生ができるというところまでは知識としても持っていましたが、内部ではこんなことになっているとは思いませんでした。 昨日の時点ではもったいないとケチ根性を出して埋め戻しましたが、好奇心に逆らわず、二つに切ってみて正解でした。
こうなるとこの先、完熟までの過程が気になってきます。 殻の内側の膜、豆の薄皮、そして殻と豆の空間と謎はまだ残っているので、またどこかで試し掘りをしてみようと思います。