アリの〜その後〜
2014年 08月 23日
先日、アリがセミのお墓を作る様子を観察した話を書きましたが、その後さらに面白い行動が見られましたので、またお知らせします。
強制的に場所を移動してしまったセミの死骸の周りに再び砂粒を集めてお墓を作ったアリは、翌日の昼間になると、ぱたりと姿を見せなくなり、まるでせっかく作ったセミのお墓を放棄してしまったかのように静まりかえってしまいました。
今週は猛暑が続いていたこともあり、もしかしてアリもあまりの暑さを避けているのだろうかと妻と話していたのですが、翌朝見てみると新たな変化が。 それまでアリが出入りしていたセミのお墓から二センチほど離れた巣の出口のほかに、新たにそのお墓のセミの死骸のすぐ脇に巣穴ができて、アリが盛んに出入りしているのです。
どうやらアリは猛暑を避けて休んでいたのではなく、映画か何かの金庫破りよろしく直下までトンネルを掘り、最短距離で巣に持ち帰ろうと準備をしていたのではないでしょうか。
前回の記事で紹介した『ハキリアリ 農業を営む奇跡の生物』という本に「超個体」という言葉が載っていました。 大雑把に言えば高度な社会性を持ったアリの集団のように、集団を構成する個体の集合体としてではなく、あたかも集団全体がひとつの個体のごとく行動するものを意味するようですが、このアリの様子はまさに「超個体」を思わせるものでした。