春の使い
2006年 03月 13日
ツバキキンカクチャワンタケは写真のような、茶色いラッパのような形をしたきのこです。
馴染みのない方から見れば地味で怪しげな形なのですが、その生態を知ると、なかなか興味深いものがあります。
きのこと言えば樹や枯葉に生えるものという印象があるのですが、このきのこは椿の花だけに生えます。さすがに森の掃除屋さんと呼ばれるきのこだけあって、生えるのは花と言っても咲いている花ではなく、地面に落ちた花です。そのため、椿の花が落ちる春になると姿を現して、新しい落ち花に胞子を飛ばし、取り付いた胞子は一年間その花とともに土の中で暮らした後、翌春また地表に現れては胞子を飛ばすという生活を送っています。
別に花を愛でているわけではなく、単に食べ物にしているだけなのですが、何処となくのんびりとした性格に感じられ、面白いきのこです。『はなのすきなうし』という絵本がありますが、そのお話に出てくる牛を思い起こさせます。