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写真初心者のおっちゃんが、身近な生き物について、下手くそな写真と駄文で観察日記風に綴ります。きのこと家庭菜園の話題が多めです。


by at384
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富士山きのこあれこれ

富士山きのこあれこれ_f0108133_17455853.jpg

十月の話なのでかなり前になってしまいますが、いつかは行ってみたいと思っていた、念願の富士山に訪れました。

富士山とはいうものの、いろいろなところで目にする素敵な写真のきのこがどこに行けば見られるのかを知らなかったため、まずは事前の場所探しからです。 人に聞くという手段もあるのですが、やはりきのこのお作法として禁じ手のような気もしたので、自分で調べることにしました。 (と言ってもネットで調べるわけですから、安易さには変わりないのですが)

そしてまず訪れたのは須走口五合目です。 きのこ狩りと言えばこことばかりの評判だったので、食菌はたとえ獲り尽くされても魅惑的な毒きのこは残っているだろう程度に考えていました。

しかし、その期待はいきなり裏切られることになりました。 着くなり目に飛び込んできたのは、山荘の前に並んだ何台ものテーブルを埋め尽くす夥しいきのこの山です。 最初は山荘で出すきのこ料理のために収穫したきのこを並べているのかと思ったのですが、そうではありませんでした。 山荘できのこが食べられるか否かを鑑定してくれるため、きのこ狩り客が獲ったきのこを並べて鑑定を待っているのです。

とりあえず山荘で食事がてら近くのきのこ狩り客の会話に耳を傾けていると、山荘で鑑定してくれるので、きのこと見れば片っ端から獲ってきて、食べられないものは後で捨てればいいという考えがまかり通っているようでした。 実際にきのこ狩り客に話を聞くと、きのこの知識などほぼ皆無で、カキシメジやニガクリタケなどの紛らわしいものはおろか、チシオタケまで、もしかしたら食べられるかもしれないからと、獲ってきているのです。

富士山きのこあれこれ_f0108133_20152294.jpgこのようなことを言うと角が立つとは思いますが、さすがにこれには呆れて言葉が出ませんでした。 この人たちにとっては、きのこは生き物ではなく、食べ物でしかないのです。 食べられないと判定されたきのこは単なるゴミなのです。 その後、路端の草むらでビニール袋を逆さまにして、大量のきのこを捨てている人も見ましたが、正直胸が悪くなる光景でした。

そして肝心のきのこですが、やはり予想通り、ことごとく取り尽くされて残っているものはわずかで、この日いちばんの写真はロクショウギサレキンモドキに染まって真っ青になった倒木でした。 さすがにこれを獲る人はいないでしょう。

富士山きのこあれこれ_f0108133_1746777.jpg須走口五合目はこの状態なので、翌日は場所を変えて青木ヶ原樹海を目指して富岳風穴近辺の遊歩道に向かいました。

こちらはきのこ狩り客の姿もほとんどなく、打って変わって天国のよう。 遊歩道の入口から倒木いっぱいに生えたタヌキノチャブクロが迎えてくれます。 ここから鳴沢氷穴までの遊歩道と、精進湖方面に向かう遊歩道を歩いたのですが、普段見ることの少ないルリハツタケ、アカエノズキンタケ、ベニテングタケなどきのこにも出会え、思い描いていた通りの富士山のきのこたちとの出会いを満喫しました。

前日と較べるとまさに天国と地獄の違いではありましたが、富士山のきのこ狩りの実態を目の当たりにできたこともある意味、良い経験であったと思います。 あちこちで、食毒を離れた生き物としてのきのこの魅力を伝えるべく情報発信をしてきたつもりですが、今後もこうした活動を続けて行きたいと、僭越ながら思った二日間でした。

富士山きのこあれこれ_f0108133_1862767.jpg富士山きのこあれこれ_f0108133_1862218.jpg富士山きのこあれこれ_f0108133_1861697.jpg

[写真]
ルリハツタケ: 傘径約5cm / ロクショウグサレキンモドキ: 直径約3mm / タヌキノチャブクロ: 直径約2cm /
アカエノズキンタケ: 高さ約2.5cm / ベニテングタケ: 傘径約7cm



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# by at384 | 2017-11-12 22:07 | 菌類
きのこの編みぐるみ 〜 キツネノハナガサ_f0108133_2357482.jpg

きのこの編みぐるみ 〜 キツネノハナガサ_f0108133_235882.jpg妻が作ってくれたきのこの編みぐるみの八十四作目、キツネノハナガサです。

以前から何度も目にしているきのこではあるのですが、編みぐるみにするには細すぎて敬遠していました。 しかし、最近はいろいろと手法が増えて針金を直接編み込む方法で極細のきのこも作れるようになり、今年は町田・八王子の小山内裏公園や府中の浅間山公園でキツネノハナガサをよく目にしたこともあって、作ることになったようです。

きのこの編みぐるみ 〜 キツネノハナガサ_f0108133_17163654.jpgきのこの編みぐるみ 〜 キツネノハナガサ_f0108133_17164711.jpgキツネノハナガサは小さいながらも、精細な姿のためか人気があるようで、SNSでもよく写真を目にします。 幼菌のときは黄色がはっきりしているのですが、成長すると黄色が淡くなって、傘は光が透けるほどです。

さすがに編みぐるみでは傘を半透明というわけにはいきませんが、編み方で傘の向こうが透けそうな感じは出ているのではないでしょうか。 妻いわく「降りてきた」そうで、手前味噌ながらもいい感じに再現できていると思います。

なお、今回も恒例の交差法による裸眼立体視写真を載せます。

きのこの編みぐるみ 〜 キツネノハナガサ_f0108133_23583290.jpg

[写真] キツネノハナガサの編みぐるみ: 傘径約2cm


写真の実物は傘径約3cm


PENTAX K-1 + D FA MACRO 50mm F2.8
PENTAX Optio 750Z
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# by at384 | 2017-11-12 00:38 | 菌類

水吹ききのこ再び

水吹ききのこ再び_f0108133_1871142.jpg

今年「博物ふぇすてぃばる!」に参加するために必要となったために、これまで縁のなかったツイッターを始めることになりました。 決して批判的な理由で避けていたわけではないのですが、普段からスマートフォンの類を持ち歩かないこともあって、興味を持てなかったのも正直なところです。

ですが、実際始めてみると手軽というのか、機動性がよいというのか、ブログでは事前にあれこれと準備していたものが簡単に済んでしまうため、気が付けばブログの更新を置き去りにしてツイッターばかりになっていました。 易きに流れるというのは怖いものだと、身を以て感じています。

とはいえブログで更新が遅れ、ひと月以上前の話題を出していることもしばしばな実態を考えれば、即時性というのも悪くはないのかもしれません。 一方でやはり140文字という制限は、ただでさえ文章が冗長になりがちな私には厳しく、伝え切れないことも多いので、これからは旬な情報発信はツイッターで、しっかり伝えたいことはブログでと手段を使い分けようと思っています。

水吹ききのこ再び_f0108133_1872717.jpg前置きは長くなりましたが、八月の長雨の頃の話です。 各地でのきのこの大発生の話題に誘われて深大寺に行ったところ、もちろん他所に劣らず大発生するなかで、久々にツガサルノコシカケの水吹き(分解水)に出会いました。

水吹きに執着しているわけではありませんが、水を吹くきのこはどちらかといえば地味で表情が読み取りにくい硬質菌なので、水吹きは彼らが見せる数少ない生き生きとした表情ですし、何より珍しさと面白いというのが理由で、ブログでも何度か取り上げています。

ツガサルノコシカケのものは九年ほど前に見て以来で、そのときはごく幼菌で水滴は透明だったのですが、今回見たものはなかり成長したもので、水滴もうっすらと赤色を帯びていました。 上面の黒っぽい色と、純白の管孔側に薄紅色の水滴がたいへん美しく、今まで見たなかで一番の水吹ききのこでした。

水吹ききのこ再び_f0108133_2034033.jpg水吹ききのこといえば、硬質菌のものとは全く異なるのですが、同じ八月に我が家の植木鉢に生えたハタケチャダイゴケにも面白い水吹きが見られました。

ハタケチャダイゴケは胞子が未熟なうちは杯に膜状のふたが付いており、そこに粘性のある液体が満たされていることは知っていたのですが、その液体が裂け始めたふたのわずかな穴から押し出されて、粘性も手伝ってか大きな丸い水滴になっていたのです。

水吹ききのこ再び_f0108133_2034797.jpg水滴はハタケチャダイゴケの直径の三分の一にも及ぶ大粒のもので、たまたま二つ並んだ杯のちょうど同じ位置に出ているものもあって、美しいだけでなく、可愛らしい光景となっていました。

ハタケチャダイゴケのこの水滴は湿度や気圧などの条件が重なってできた偶然の現象なのか、それとも恒常的に起きていることなのか、残念ながら他の報告例を見つけることができなかったのでわかりませんが、面白いものを見せてもらいました。

もしどなたか他でこの現象を見られたかたがいらしたら、お教えいただけると幸いです。

[写真] ツガサルノコシカケの幼菌: 幅約4cm / ハタケチャダイゴケ: 直径5mm



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# by at384 | 2017-09-11 22:04 | 菌類
清里の意表をつくきのこたち_f0108133_181432.jpg

北八ヶ岳は苔の森に訪れた後、清里まで移動して宿泊しました。 翌日は清里付近を探索すべく、まずはキープ協会の周辺にある自然散策路へ。

帰りの電車もあるため、比較的短時間で回れそうな森の中の散策路を見てみましたが、大半はびっしりと笹に覆われていて、残念ながらこれではきのこを探すのは困難でした。 そうこうしているうちに雨が降り出して散策どころではなくなり、久々に名物のアイスクリームでも食べようかと清泉寮へ。

ふとベンチの置かれた植え込みの中を見ると、鮮やかな黄色のきのこと思いっきり目が合いました。 近付いて見るとコガネテングタケとおぼしききのこが数本。 写真を撮ってふと視線を上げると、緑色の草の中に赤紫色の物体が点々と。 芋づる式に周辺から次々ときのこが出現するではありませんか。

さんざん笹薮の中をきのこを求めて歩き回ったのは何だったのかと思いたくなるほど、想定してもいなかった清泉寮の一角できのこ三昧となりました。 常々思うことではありますが、やはりきのこは人懐っこくて目立ちたがりのようです。

清里の意表をつくきのこたち_f0108133_18141670.jpg清里の意表をつくきのこたち_f0108133_18142129.jpg清里の意表をつくきのこたち_f0108133_18143941.jpg
清里の意表をつくきのこたち_f0108133_18225083.jpg清里の意表をつくきのこたち_f0108133_1814341.jpg清里の意表をつくきのこたち_f0108133_18224461.jpg

[写真]
ハナオチバタケ, ニカワホウキタケ(?), チシオタケ, チチタケ, 未同定, コガネテングタケ(?), トガリツキミタケ(?)



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# by at384 | 2017-08-06 19:10 | 菌類
苔の森のきのこと粘菌たち_f0108133_1630692.jpg

北八ヶ岳の苔の森では、どうしても苔や地衣類が目に付き、相対的にきのこの存在感が薄くなってしまうのですが、小型菌中心で種類こそ少ないものの、けっこうな数のきのこに会うことができました。 なにより森の中が苔の緑色で満たされているため、背景がきれいで絵になるのが素敵です。

種類としてはクヌギタケの仲間とカブベニチャ(?)が大半ですが、少ないながらも他のきのこたちにも会うことができました。 また全体的に湿った環境ということもあって、きのこ以外に粘菌も元気で、そこかしこで姿を見ることができました。

苔の森のきのこと粘菌たち_f0108133_16365056.jpgそして、これは菌類ではないのですが、森の中にはギンリョウソウがちょこちょこと生えていて、もう花はほとんど終わって実ができたものがほとんどながら、これもまた森の緑に映えてきれいでした。 ことに可愛らしいのが実のなりかたで、今まで気付かなかったのですが、果実が成熟してくるとそれまで俯いていたのが上を向いて来るのが面白く、みんなで口を尖らせて上を向いているようなのが印象的です。

ギンリョウソウといえば最近、ゴキブリが種子散布に一役買っているという話題を知りました。 純白のいかにも清楚な姿とは裏腹に、ベニタケの仲間から栄養をかすめ取り、ゴキブリに種子散布をさせているという点が興味深いところです。

苔の森のきのこと粘菌たち_f0108133_16364325.jpg苔の森のきのこと粘菌たち_f0108133_16363427.jpg苔の森のきのこと粘菌たち_f0108133_16362692.jpg

苔の森のきのこと粘菌たち_f0108133_16424843.jpg苔の森のきのこと粘菌たち_f0108133_17373484.jpg苔の森のきのこと粘菌たち_f0108133_1657189.jpg

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苔の森のきのこと粘菌たち_f0108133_16411682.jpg苔の森のきのこと粘菌たち_f0108133_16411187.jpg

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[写真]
カブベニチャ(?), ギンリョウソウ, ベニタケの仲間, イグチの仲間, 未同定, コガネニカワタケ(?), イグチの仲間, クヌギタケの仲間, マメホコリ, ススホコリ(?), 未同定, クダホコリ(?), ツノホコリ(?)



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PENTAX K-1 + DA21mm F3.2 AL Limited

# by at384 | 2017-08-06 17:42 | 菌類